個人的にあまり意識したことは無かった(貧しくて一番安い低脂肪牛乳しか買えない)のですが、牛乳のシェアで2位を大きく離して1位を獲得しているのは「明治 おいしい牛乳」らしいです。(2016年のデータ)
市販の牛乳の中で、特に”低温殺菌”を謳っていないものは高温殺菌(130℃, 2秒とか)で殺菌され出荷されています。しかしこの条件では、硫化⽔素や硫化カルボニル、メタンチオール、ジメチルスルフィドといった硫黄化合物が生成され、いわゆる”乳臭さ”として香味に悪影響を与えてしまいます(PDFリンク)。特に人間はこの辺の化合物には感度が高いので、微量でも悪影響は大きそうですね・・・。
これらの成分の生成には酸素が関与しているとされています。ならば不活性ガスを送り込んでしまえば良いと化学屋は考えてしまいますが、そんなに簡単な話では無いんですね。牛乳は泡立ちやすい性質があります(カプチーノの泡等をイメージして下さい)。工場レベルで牛乳をバブリングしようとすると、大量に泡が発生してタンクから溢れたり、センサーの誤検知やポンプによる送液の異常など、とにかくろくでもない事になります。他の食品(豆腐とか)では消泡剤を入れて対応しますが、牛乳ではこれができません(下表参照, ”牛乳”として売れなくなる)。
Table 乳類の成分規格
この特許が出されたのが1999年ですから、来年の2019年で20年を迎え特許権が切れます。これ以降はこの手法が他メーカーでも使えるようになり、牛乳のクオリティが全体的に底上げされるかもしれません。どのみち値段が安くなってくれないと、”牛乳”は私には買えなくて、成分調整牛乳とか加工乳の生活が続いてしまうんですけどね。
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